電力需要家のDRリソースを活用し需給調整市場に参入 ~水電解装置による一次調整力としての実運用開始~(2025.8.28)
株式会社やまなしハイドロジェンカンパニー(以下、YHC)は、山梨県、東京電力エナジーパートナー株式会社(以下、東京電力EP)、エナジープールジャパン株式会社(以下、EPJ)ならびに株式会社東光高岳(以下、東光高岳)と共に、山梨県甲府市の米倉山電力貯蔵技術研究サイトに設置された固体高分子(PEM)形水電解装置を活用することで、需給調整市場※1(一次調整力※2)に参入に必要となる事前審査に本年3月合格し、実運用に必要な準備を整えることができため、7月15日に調整力を初供出し、正式に運用を開始しました
需給調整市場の一次調整力は、電力の品質維持に不可欠な周波数の維持に用いられる調整力であり、これまでは大規模発電所や系統用蓄電池などにより供出されてきました。今回、電力需要設備であるメガワット級PEM形水電解装置の高い応答性を活かし、電力系統の安定化に寄与するため、一次調整力として正式運用を開始しました。
なお、電力需要家の設備を活用した一次調整力の供出は、既に欧州等で先行的に事業化されておりますが、本件では、EPJの有する技術・経験を活かし、参画メンバーが一体となって、一次調整力の供出に必要な整流器、電解槽などの多様な設備を統合したこと、またこれらのシステム全体を高速に制御するコントローラやエネルギーマネジメントシステムの導入を実現できたこと により、PEM形水電解装置を用いて一次調整力を供出した点で、世界に先駆けた事例(東京電力EP調べ) となったものと考えています。
YHCは、今後も、水電解装置等の導入拡大を図るとともに、東京電力EPおよびEPJが調整力として積極的に活用することで、電力系統の安定化やカーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。
<スキーム図>

↓実際の周波数と受電電力の動き
(周波数が50Hz以下時のみ、電力応動≒受電電力を瞬時に下げる運用の様子)

※1:一般送配電事業者が電力供給区域の周波数制御や需給バランス調整を行うために必要となる「調整力」を調達するため、2021年4月に開設された。 2021年3月までは各地域の一般送配電事業者がそれぞれ公募によって調整力を調達していたが、需給調整市場の開設によって、エリアを越えた広域的な調整力の調達を行うことが可能となった。
※2:調整力とは、一般送配電事業者が電力供給区域の周波数制御や需給バランス調整を行うために必要となる電力リソース。発電設備や蓄電池の利用、需要家による節電などによって創出可能。そのうち、一次調整力とは、電力の安定供給に不可欠な周波数の維持に用いられる調整力であり、周波数変動を検知した後、10秒以内に要求される調整力を供出する必要がある。